現役パイロットですが、訓練生時代から大変興味深く読ませていただいております。
AIの進化に伴うパイロットへの需要変動に関しては、パイロットを目指されている方も大変興味があるかと思いますが、私は少なくとも二、三十年はパイロットが必要とされると半ば確信めいたものがあります。(二人が一人になる可能性は大いにありますが。)
AIは与えられた情報からの最適解を求めることには確かに抜群の能力を発揮すると思いますが、並行して変化する様々な環境の中、その変化を予測し、パイロットとしての意志や目的のために自ら周囲に働きかけ、時に導き、安全性、定時性、快適性、経済性、環境配慮、これらのバランスを取って最適な解を見出すことに関しては、おそらくAIがその領域に達するためにまだ時間が掛かると考えます。
また、人間の感情も技術の進歩に伴って適宜変わるものではなく、操縦者が乗っていない飛行機に自分の命を預けたいか、東京都心を始めとする飛行機が上空を通過する地域の住民がAIだけが動かす飛行機の通過を許せるか、様々な点でパイロットを飛行機から排除するための障壁は大きく立ちはだかっていると思います。航空の世界ではリスクは減るどころかどんどんと増していますよね。
今後、空飛ぶクルマやドローンの発達に伴い、今まで飛行機が担っていた役割が取って替わられる部分は多いでしょう。しかし、空を飛ぶ航空機の数の増加はすなわち空におけるリスクの増加に他ならず、これまで積み重ねてきたパイロットとしての知見が様々な点で求められることもあるのではないでしょうか。
パイロットに対する需要という観点での個人的な意見を述べさせていただきました。
今後もこちらの記事の更新を楽しみにしております。
「これからの航空の話をしよう。」への1件のフィードバック